アメリカで仕事をすることがあったので、事前に日本からいろいろな手続きをしている中でアメリカの現地のショップで買物をしたり保険を契約する必要がありました。
その中で、購入や契約をしたいくつかの業者から「クレジットカードの情報をFAXで送って欲しい」と連絡を受けました。
過去にも海外から買い物をしたりしたことはありますが「クレジットカードの情報をFAXで送れと」いわれたことは一度もなかっただけに「ええっ!?なんで!?」と驚きと疑問ですぐに返事をすることができませんでした。
クレジットカードの情報は人には教えるものではないと思いますが、本当に相手の言うままFAXで送ってしまって良いのか不安だったのと怪しさもあったので調べてみることにしました。
この記事の目次
海外のサービスから買い物や保険の契約をした際にクレジットカードの情報をFAXで送れと言われた
海外のサービスから買い物や保険の契約をした際にクレジットカードの情報をFAXで送れと言われました。必要だと言われた情報は下記の通り。
● クレジットカードの所有者名
● カード番号
● 有効期限
● セキュリティコード
要するにクレジットカードに記載されている全ての情報を送って欲しいというのです。
僕の感覚としてはクレジットカードの情報は人には教えるべきものではないと思っています。また、日頃のインターネットでの買い物でもSSLでセキュリティがしっかりとしているところからでないとクレジットカードを使用して買い物をしない方が良いと言われています。
また上記のクレジットカード情報のうち特にセキュリティコードはインターネットでも伏せ字になる部分なのでより重要だと思われ、このあたりの情報を先方に教えてしまうと、自由に僕のカードを使用出来るようになってしまいます。
クレジットカードの情報を必要としているサービスやショップはちゃんとした会社で怪しいところではなかったのですが、本当に先方の言う通りにクレジットカードの情報を教えてしまって良いのかとても不安がありました。迂闊にクレジットカードの情報を教えて悪用されたりしては手遅れです。
なんだか怪しさも感じたので「何故クレジットカードの情報が必要なのか?」「PayPalなどの他の支払い方法で支払うことはできないのか?」などの質問を先方にしてみましたが、「クレジットカードの情報がなければ手続きを進めることができない」「クレジット決済以外は受け付けない。」というものでした。逆に「クレジットカードの情報がなければ我々はどうやって請求をすれれば良いんだ?」などと質問を返されるくらいで、クレジットカードの情報を教えることが当たり前であるという感じの答えが返ってきたのでした。
とても納得できるような回答ではなかったのですが、クレジットカードの情報を送らなければ前に進めないのであれば従うか、サービスの利用をやめるという選択肢しかありません。
他のサービスを利用するということも考えましたが、保険の場合現地の保険に加入した場合は3万円程度なのに対し、日本の保険会社から同様の保険をお願いすると60万円〜というふざけた見積もりが来たので、諦めて先方にクレジットカード情報をFAXで送ることにしました。
しかし、不安なものは不安ですし、詐欺には遭いたくないので、先方にクレジットカードの情報を送る前にいろいろと調べてみることにしました。
クレジットカードの情報を教えて良いのか?
この手の情報はインターネットを調べればすぐに見つかるかと思ったのですが、意外ときちんとまとめられているサイトがなく、あちあこちらで相談されている内容の断片をかいつまんで解釈していくしかありませんでした。
「クレジットカードの情報をショップや誰かにFAXで送って良いものか?」という質問に対しての模範解答は「他人にクレジットカード情報を教えるなんてとんでもない。それで悪用されてもカード会社は自己責任として補償してくれない」ということになります。インターネットで見つかる回答も十中八九同様の回答でした。
「クレジットカードの情報を送れと言うようなところから物を買うべきではないし、悪用されたら全て自己責任になる。」「どうしてもそこから何かを買ったりする必要があるのであれば、他の支払い方法を交渉してみるべき」などの極々常識的な意見が非常に多いのです。
僕もそう思うのですが、前に進むためには他に選択肢がなく頭を抱えてしまいます。「悪用されるのを覚悟して先方にクレジットカードの情報をFAXで送るしかないのか…」そんなことを考えながらもう少し調べてみると「なるほど」と思えるような答えを見つけることができたので以下にまとめておきます。
クレジットカードの情報は教えても良い
結論として、クレジットカードの情報は教えても構わないようです。もちろん安全面を考えれば基本的には教えるべきものではないでしょうし、教えたくないものでもあります。
以下、その理由と安全な連絡方法についてです。
昔のクレジットカード決済では普通のことだった
クレジットカードの情報を送るというのは、実はインターネット以前の通販では当たり前のことだったようです。
例えば雑誌の定期購読の支払いをクレジットカードでしたいと思った時に、定期購読の申込書にクレジットカードの情報を書き込んで雑誌社に送り返すなんてことが昔は不通におこなわれていました。
それがインターネットを使用したオンラインショップに形態を変えてセキュリティシステムが確立してくるとともに、そのようなやりかたで買い物や契約をすることはなくなったため、今現在ではあまり馴染みのないものになっています。
しかし、今でも古いホームページが残っているようなお店の注文フォームには名残が残っていてメールフォームにクレジットカード情報を丸々記入して送信するようなシステムや申込書にクレジット情報を記入して郵送するようなPDFなどを見つけることができます。
海外でも同様で、決済システムを導入していないようなお店では未だにそのやり方で通しているところもあるようです。
販売者側の自衛手段としてクレジットカードの情報の確認が行われる
未だにクレジットカードの情報が必要だと言ってくるショップや会社が古いシステムを使用しているからなのかと言われると全てではないようです。というのも、一般的なネットショップのシステムを使用しているショップから購入した場合にも、先方から「クレジットカードの情報を確認させて欲しい」と連絡が来ることがあります。
実は、今現在では別の理由からクレジットカードの情報をを必要としています。販売者側の自衛手としてクレジットカードの所有者であるかどうかの本人確認をしているのです。要するに購入の申込みをしてきた人が使用したカードが本当にカードの所有者なのかということを確認するためにクレジットカードの情報が必要なのです。
何故わざわざそんなことをする必要があるのでしょうか?
それはクレジットカードを使用した詐欺が非常に多いということが背景にあるようです。そして詐欺にあった場合、最終的な被害を被るのは販売者側であるお店なのです。
僕は過去に海外に物を販売する仕事に関わったことがあります。その際にクレジットカードを不正使用した詐欺にも何度か遭ったことがことがあります。
その際に使用していた決済システムはクレジットカードとPayPalでした。PayPalの場合もクレジットカートでの決済ができるようにしていてPayPalは仲介として間に入っているような状態になります。販売する側としてもそれが安心だからと思っていました。
さて、どのような詐欺に遭ったかですが、オンラインショップで商品を販売します。海外から商品の注文があります。支払いはクレジットカードで行われます。ショップ側はクレジットカードでの支払いを確認した後に商品を発送します。
ここまでの流れは通常のネットショッピングと変わらないので問題がありませんが、その後に問題が発生します。商品が届いたタイミングで購入者からチャージバックが行われるのです。
チャージバックとは
チャージバックとはクレジットカードの所有者が安心してクレジットカードを使用して買い物ができるようにするための返金システムです。
チャージバックはどのような時に要求できるのかですが、例えば商品を注文したにもかかわらず商品が発送されずにお金だけを支払ってしまった場合や、注文したものと別の物が届いたり、壊れていたりした時にお店にクレームを出しても無視された場合などに要求することができます。
つまり、クレジットカードで支払いをしていれば、チャージバックのシステムを利用して返金してもらうことができるので安心して購入ができるようになるというシステムです。
クレジットカード会社などは、クレジットカードの利用者を極力保護するようなシステムを整備してクレジットカードを使用するメリットにしています。
このチャージバックのシステムを悪用したのが僕が関わっていた仕事での詐欺で、一般的にチャージバック詐欺と言われています。チャージバック詐欺に関しては下記のページでまとめているので興味のある方は読んでみてください。
参考 → 海外にネットで商品を売る際の不審な購入者の特徴とチャージバック詐欺を防ぐ為の対策
チャージバック請求詐欺は圧倒的にカード使用者を保護するカード会社の方針を悪用した詐欺
チャージバック詐欺は、他人のクレジットカードを使用して買い物をして、発送先を郵便局の私書箱や配送拠点、デパートなどの荷物預かり所など宅配便を受けられる場所に設定したりして発送させます。そして実際に商品が届いたにもかかわらず「商品が届いていない」「全く違ったものが送られてきた」などを理由にクレジットカード会社にチャージバックを要求するのです。
なぜ他人のカードなのにわざわざチャージバックをするかと言うと、お金の請求がされないわけですから本当の使用者に悪用されているということを分からなくするためだと思われます。そうして届いた商品を転売して現金に変えるというわけで、転売できる物を販売しているショップなどがターゲットになりやすくなります。
普通の感覚ではそんなやり方で返金が通るわけがないと思うのですが、前述したようにクレジットカード会社は販売店よりもカードの利用者の方をとても大切にします。結果として「実際に商品が届けられたのかどうか」などの調査はせずに返金してしまうのです。
そして困ったことにカード会社は詐欺に遭った損失分を補償してくれたりはしません。販売者側は商品を詐欺で失い、一円も入金されないのです。要するにカード会社は「買い物を便利にしてビジネスチャンスを広げられる手助けをする会社」であって、販売者側を保護してくれるようなことはないのです。
いくら販売者側が実際に商品を発送した証明をクレジットカード会社に出したとしても、調査のようなことは一切してくれず「騙されないようにしっかり本人確認をしたりして気をつけてね(ニッコリ)」 という感じです。
えっと、少し話が脱線気味になってしまいましたので本題に戻します。
そんなカード利用者を優先して販売者側を守らないクレジットカード会社側の体制もあってクレジットカード決済システムを利用するのであれば販売者側は自衛をして詐欺を防ぐしかありません。
そして、自衛の最も基本的な手段として「徹底した本人確認」が必要になるというわけです。
例えば、僕が今回利用しようとしたサービスに申し込んだ際には、クレジットカード情報の他に、僕のメールアドレスや住所などの情報も必要になります。それらの情報とクレジットカードの情報を突き合わせて総合的に判断して本人確認をするというわけです。
そして怪しいと思えば商品を販売しなかったり契約をしないということになります。販売や契約をしてしまった後に詐欺だと気がついてもカード会社は補償をしてくれないのですから当然です。
クレジットカードの情報が求められるケース
今回僕がクレジットカードの情報を求められたサービスは、保険会社とイベントなどでテーブルや椅子などを手配してくれる装飾会社でしたが、他にもホテルの予約や、マッサージやアクティビティなどの予約などでもクレジットカードの情報を求められることがあるようです。
また、一般的なインターネット通販サイトでも注文した後に、本人確認のために改めてクレジットカードの情報を送って欲しいと連絡がくる場合もあるようです。
クレジットカードの情報を教えて悪用されないの?
クレジットカードを悪用される可能性はあるものと思って使用する
クレジットカードを使用している以上は、悪用される可能性は少なからずあるものと思われます。
例えば、海外のレストランで食事をして支払いをクレジットカードにした場合、カードをお店の人に一時的に手渡すことも普通です。チップも任意で書き込むわけですから、手渡している間に情報を全て控えられることもあるかもしれません。またクレジットカードのコピーや写しを取られることもあります。要するにクレジットカード情報を誰かに送るのと似たような状況はいくらでもあるわけですね。
なので、悪用される可能性もあるものだということを基本的な考えとして持って、クレジットカードの利用者も悪用されないように自衛する必要があるものだと思います。
クレジットカード決済をしたら明細と引き落とし金額を確認する
クレジットカードを使用する側の自衛手段は、クレジットカード決済をした場合は、レシートや明細を必ず保管したりメモしたりして、実際に引き落とされている内容と差異がないかを確認することかと思います。
ご存知の通り、クレジットカードを使用した支払いは翌月だったり翌々月に引き落とされるので管理が面倒ではありますが、そうしてきちんとチェックすることで、購入していない金額が引き落とされていたとしてもすぐに気がつくことができます。
クレジットカードの使用者にはとても親切な対応をしてくれる
万が一身に覚えのない金額が支払われていれば、クレジットカード会社に確認を求めて不正使用出ることが判れば払い戻しされるということになるかと思います。
要するに、利用者側に落ち度が無ければクレジットカードは基本的に安全に使用できるということになります。
不正使用ではないですが、カードの支払に関してトラブルがあったことがあり、カード会社に問い合わせをしたことがありますが、実に丁寧に対応をしてくれました。販売者側としてクレジットカードのシステムを利用していた時に問い合わせた時との雲泥の差に驚かされました。なので何かトラブルがあれば迷わず問い合わせしてみるのが良いでしょう。
また根本的なところとして、あくまでも金銭の支払いは販売者と購入者の問題ですから、販売者側にしても、購入者側にしても、相手を信用出来ないと思えば「販売しない「クレジットカードの情報を送らない」などの選択をすることになると思います。
なぜFAXでクレジットカード情報を送るのか?
いろいろと調べた結果、とりあえずクレジットカードの情報を先方に教えても問題はなさそうだということで覚悟を決めてクレジットカードの情報を送ることにしました。
しかしなぜ、メールではなくてわざわざFAXで送る必要があるのか不思議でしたが調べてみるとセキュリティを考慮してFAXで送信しているようです。
なぜFAXの方がメールより安全な理由は、まず間違って流出した際にもメールほどの拡散力が無いというところに尽きるかと思います。なので僕が契約した保険会社では「メールでは絶対に送るな」ということを言われ、FAXでしか受け付けてくれませんでした。
ただ、セキュリティ意識の低いお店や担当者だとメールでも構わないというようなことを言うかもしれませんが、ここは自身のカード情報を送ることを考えればFAXで受け付けてもらった方が安全かと思います。
国際FAX 海外へのFAXの送信方法
僕自身、海外へFAXを送るのは初めての経験でしたが、基本的には国際電話を掛ける要領でFAXを送れば良いだけなので、難しいことであはりません。
事業者番号-010-国番号-相手のFAX番号
事業者番号は契約している電話会社でNTTコミュニケーションズ(0033)やKDDI(001)ソフトバンク(0061)などがあります。マイラインに登録している場合は事業者番号は必要なく、010から始めれば大丈夫です。
NTTコミュニケーションズ 0033
KDDI 001
ソフトバンク 0061
楽天モバイル 0082
国番号は国際電話を掛けるさいに必要となる番号でFAXの場合も同様に必要になります。
アメリカ合衆国、カナダ 1
フランス 33
イタリア 39
オーストリア 43
イギリス 44
ドイツ 49
日本 81
韓国 82
中国 86
参考 → 国番号一覧 wikipedia
まとめ
日本に住んでいる感覚からすると、クレジットカードの情報を教えたりしたことで、不正使用されたらカード会社から「自己責任」だと言われてしまいそうな気がしないでもないですよね。
今回のやり取りはアメリカではごく一般的に行われていることのようなので、仮に不正使用があった場合にはカードの所有者が保護されるのが普通だと思われます。
またクレジットカードを使用する側としてはクレジットカードを使用することで安全に買い物が出来るというところが一番のメリットですから、カードにむき出しの情報だけでカードが悪用されてカードの保有者が全ての責任を負わなければいけないのであれば、現金を持ち歩くよりもカードを所有する方が危険ということにもなります。財布を落とすと全財産を失うどころか負債を負ってしまうようなリスクがあるものなんて持ち歩けないですし、使用できません。
そのあたりも含めて安全で便利に使用できるからこそクレジットカードの価値があるわけで、それが崩れてしまえばクレジットカードが成り立ちませんから、安心して考えて良いところだと思います。なので「クレジットカードの情報を送ってもカードの使用者は保護されるから問題ない」というアメリカ的な考え方が正しいのでしょう。
とは言いつつも、どこの国でも同じような対応をしてくれるとは限らない可能性もありますし、クレジットカードを使用する上で、不正使用に気をつけて、しっかりとカード会社に保証してもらうためには、相手が本当に信用できるショップや会社なのかなど、こちらもショップ側と同じ様に慎重になる必要があるのかもしれません。
万が一不正使用の被害に遭った時にしっかりと責任が無いことをアピールするためには
● パスワードは教えない
● 紛失したらすぐに届出をする
● 使用した履歴をしっかりとメモしておく
などのセキュリティ意識をしっかりと持つことが大切かと思います。特にパスワードに関しては教えてしまうとアウトなので絶対に教えないようにしましょう。
ちなみにクレジットカードはいつの間にかどんどん増えてしまいますが僕は要らないカードは処分するようにしています。今現在使用しているのは銀行系のVISAカードとAmazonマスターカード