「オリジナルブランドやグッズを作りたい」と思うのは、僕のようにイラストを描いたり、デザインをしたりする人にとっては、きっと一つの目標であったり、夢だったりすると思います。
実際、僕自身、今までに何度もいろいろなグッズや製品を作ってきましたし、これからもチャンスがあれば作ってみたいと思っています。
しかし、オリジナルグッズを作ろうと思うと、なかなか簡単なことではありません。
数量と金額がいつも障壁になるのです。
オリジナルグッズを作成できる業者は見つけられるものの、最小ロットがかなり多く必要だったり、小ロット対応でも単価が高すぎたりして、グッズを作るまではできたとしても、その後の販売まで考えると、値段が高くなりすぎてしまい、現実的ではないことが多かったのです。
それから時代は変わり、今ではオリジナルプリントグッズを作成できるサービスが登場し、以前よりもずっと簡単に、そして安くオリジナルグッズが作成できるようになりました。
オリジナルグッズが、1個から、しかも格安で制作できるので、販売目的だけではなく、ギフトやプレゼント用(もちろん自分用も!)などで気軽にオリジナルグッズを作れるようになってきています。
そんな、オリジナルグッズを制作できるサービスの一つであるPRINTFUL(プリントフル)でオリジナルグッズの作成をしてみたので、注文から納品までの流れについて解説してみます。
オリジナルグッズ作成サービスPRINTFUL(プリントフル)
PRINTFUL(プリントフル)とは
PRINTFULはアメリカに拠点を置く、オンデマンド印刷・ドロップシッピングサービスを行う会社(サービス)です。
Tシャツ、帽子、バッグなどのアパレルや、アクセサリー、カップ、アイフォンケースなどのオリジナルグッズを作成でき、2013年にアメリカで創業、日本では2019年あたりから事業展開をしています。
PRINTFUL(https://www.printful.com/jp/design-your-own-products)
PRINTFUL(プリントフル)で作成できるグッズ
PRINTFUL(プリントフル)と同様のサービスを行うサービスは他にもあるのでPRINTFUL以外でもオリジナルグッズを作れるのですが、PRINTFULは制作できる物の種類が多いのが特徴です。
同様のサービスの多くは、シャツやマグカップあたりが定番なのに対して、PRINTFUL(プリントフル)で作成できるアイテムのバリエーションが非常に多いのです。
下記がPRINTFULで制作できるアイテム(他にもあります)ですが、かないr多くの製品から選択することができます。
Tシャツ、ポロシャツ、パーカー、スウェット、パンツ、下着、レギンス、ショーツ、ジャケット、スカート、水着、スタイ、子ども用ロンパース、帽子(ベースボールキャップ、ニット帽、サンバイザー)、トートバッグ、パソコンケース、スリングバッグ、iPhoneケース、マスク、キーホルダー、ビーチサンダル、靴、靴下、ネックレス、ピアス、マグカップ、クッション、クッションカバー、ポスター、タオル、エプロン、文房具(ノート、ポストカード、ステッカー)などなど。(2022年1月現在)
刺繍もできる
PRINTFULは刺繍にも対応しています。
同様のサービスの多くはプリント(シルク印刷や全面印刷など)が主流で、刺繍をしてくれるサービスは、すごく限られています。
個人的にはプリントよりも刺繍の方が好きということもあり、PRINTFUL(プリントフル)に魅力を感じる部分の一つにもなっています。
作成だけでなく販売もできる
興味深いのは、オリジナルグッズを作成できるだけでなく、世界最大のオークションサイトであるebayや、ハンドメイド品やオリジナル製品などを扱うEtsy、amazonなどの世界中のショップと連携して、オリジナルグッズの販売もできるようになっています。
世界中に販売網を広げられるのは、クリエイターとして収入を得たい人や、副業を考えている人にとっては大きなメリットに感じられます。
実際問題で、オリジナルグッズを作るまではそれほど難しいところではないのですが、販売する際に躓くことが多いのです。昔ならばTシャツを作れば置いてもらえるお店を見つけるためにセレクトショップなどと交渉したり、月極のレンタルボックスを借りて手作りグッズとして販売するくらいしかありませんでした。
要するに、販路を持たない人にとっては、とてつもなくハードルが高かったわけですが、PRINTFULのシステムを使用すれば、世界中の人に向けてオリジナルグッズを販売できてしまうわけですから、素晴らしいとしか言いようがありません。
ノーリスクで始められる
オリジナルグッズの販売で気になるのが、その制作費や販売方法に関してかと思います。
一般的なイメージとしては、まとまった数量の製品を制作するための初期費用や、制作した製品の保管や管理、注文を受けた際の発送作業など、金銭的な問題や梱包・発送作業が大変だろうなと思うわけです。
海外で販売できると言っても、海外への発送はインボイスの発行などもあり、経験の無い人にとっては、かなりハードルが高そうです。
これらの問題についてもあまり心配しなくても良いようなシステムになっています。
まず、PRINTFULは受注生産方式なので、在庫を持たなくても販売が開始できます。デザインさえ作成すれば、製品のサンプル画像も自動で作成され、商品として登録することができるのです。
つまり、実際にモノを制作しなくても販売が開始できるので、多くの製品を作ることができ、初期投資や在庫管理、価格とコストの問題で頭を悩ますことがありません。
また、受注の際の連絡や、梱包や発送などの業務も全てPRINTFULの方で処理をしてくれるような仕組みになっていて、たとえ海外からの注文であったとしても、クリエイターが梱包や発送などの作業をする必要が一切ありません。
PRINTFULのシステムを利用するのも基本的に無料なので、発生する支払いは注文があった際の制作費くらいしかなく、ほぼ、お任せの状態でオリジナルグッズの世界展開ができてしまいます。もちろん制作費は売上から支払われることになるので、実際は差額が利益として得られることになります。もちろん販売価格も自分で設定できるようになっています。
僕のような自分の作品を創る人は、モノを創るのは好きでも、販売(営業)は苦手という人は多いと思うんですよね。創作作業と営業は全く違う分野ですが、モノを売るためには本来やりたくないはずの、モノを売るための勉強や営業活動のために時間を使わなくてはいけないんです。
「本当はこんなことやりたくないんだけどなぁ」と思いながらも、作ってしまったものを売るためにしぶしぶ営業活動をしていた身としては、PRINTFULのようなサービスはお金を払ってでも利用したいサービスだったりするわけですが、登録料も利用料も発生しないというから驚きです。
用語解説
オンデマンド印刷
一般的に印刷は「版」を使用する必要があり、印刷物ごとに異なるので、製作コストが大きくなる要因の一つでもあるのですが、オンデマンド印刷では、この版を使用せずに機械で版と同様の仕事を処理することで、印刷にかかる時間やコストを削減できる他、小ロットの制作にも対応できるような印刷方法です。
ドロップシッピング
ドロップシッピングとは通常の販売のように在庫を持つことがなく、注文があった場合に、工場(メーカーや倉庫)から直接注文者へ発送されるような販売形式の一つです。
PRINTFULでオリジナルグッズを作成してみる
PRINTFULでオリジナルグッズを制作する流れについて解説してみます。
登録
PRINTFULを利用するには、まず登録が必要です。
PRINTFUL(https://www.printful.com/jp)のホームページの右上にある「登録」をクリック。
「Printfulに登録」画面に移動します。
facebook、Google、Appleのアカウント、またはメールアドレスを使用して登録することができます。
今回はメールアドレスを使用して登録することにします。
「メールアドレスを使用して登録」をクリック。
● 名前
● メールアドレス
● パスワード
を入力して、規約に同意するためのチェックを入れて「登録」をクリック。
登録完了前に、簡単な質問がいくつかあります。
アンケートに答えた後に「完了」をクリックで登録が完了します。
管理画面
登録が完了すると、管理画面に入れるようになります。
デザインテンプレートの作成
登録が完了したら、早速デザインの作成に取り掛かります。
画面左側のメニューから(1)「商品テンプレート」をクリック。
画面が変わったら(2)「最初の商品プレートを作成」をクリック。
作成する製品を選択
商品を選択する画面に変わるので、作成するアイテムを選択します。
国内工場で製造できるものと、海外工場で製造できるものがあり、どちらでも注文は可能ですが、海外工場の場合は納期が長くなります。
早く現物が欲しい場合には、国内工場で制作可能な製品を選ぶと良いでしょう。
国内工場だと1週間程度、海外工場だと1ヶ月程度で発送が目安になると思います。
デザインをレイアウト
デザインのテンプレートは制作物によって、全面印刷の可否、刺繍の可否、デザイン可能な範囲などが決まっています。
例えば、前面、背面、腕、タグなど複数の場所にプリントできる製品もあれば、胸のワンポイントだけ可能な製品があったりします。このあたりは自分のイメージどおりのデザインができるかどうかを考えながら製品を選択することになると思います。
必要な項目を選択したあと、デザインを入稿します。
デザインの入稿
デザインデータを入稿するには「デザインを入稿」をクリック。
デザインデータを画面にドラッグ&ドロップで入稿できます。
デザインをアップロードする画面に変わります。
デザインデータはJPGかPNGで制作します。
入稿用のデータの作成方法についての基本的なルールは
● 150 DPI以上(制作物により300DPI)
● サイズは制作物による。なるべくテンプレートに沿ったサイズで作成する
● PNG、JPEG
なので、日頃からデザインや画像を扱う人はもちろん、そうでない人にとっても、簡単に扱える画像だと思います。
例えば、アナログで絵を描くような人でも、描いた絵をスマートフォンで撮影すれば製品化できるくらい簡単です。
デザイン作成に関する詳細は下記のページを参考にしてください。
参考 デザインデータ入稿の基本 – 画像データに関する必要事項|PRINTFUL
PRINTFULのデザインツールも利用できる
IllustratorやPhotoshopなどの画像制作ソフトがない場合でも、PRINTFULのデザイン作成ツールを使用してデザイン作成が可能です。
先述したように、アナログで絵を書いたりする人がスマートフォンで作品を撮影して、それをアップロードして、デザイン作成ツールを使用すれば思い描いたデザインでグッズを作成できるようになっています。
参考 デザイン作成ツールで、ユニークなデザインがあっという間に完成。|PRINTFUL
規約に同意してアップロード
デザインデータをアップロードする際には規約に同意する必要があります。
「何かのブランドや著作権に違反した画像を使用しないでください」
「差別的な表現や誹謗中傷はしないでください」
「訴えられても責任を自身でとってください」
というような内容です。
PRINTFULのようなサービスを使用すれば、ブランド品を模倣したり、作家の作品を無許可で使用してグッズを作れてしまうので、ごくごく当たり前の内容ですね。
問題がなければ「これらの条件を理解し承承諾しますにチェックを入れて「承諾」をクリック。
デザインの選択
アップロードしたデザインを選択します。
今回は刺繍で作成したかったので、デザインデータは全てpng形式にして背景を透過させています。
「猫バーガー」と「ウサギ」のデザインを登録。
どちらにしようか悩みましたが、刺繍は思ったよりもデザイン範囲が狭いことや、刺繍の範囲が広く、表現が簡単な猫バーガーの方を選択しました。
画像にチェックを入れると「配置」ボタンが表示されるのでクリック。
デザインの確認
自動的にデザインが配置されます。
刺繍の場合、プリントほど多くの色が使用できるわけではないので、PRINTFULで対応可能な近い色の糸が指定されるようになっています。
イメージと違った場合には、別の色の糸を選択することもできます。
サイズなども、この段階で調整します。
デザインに問題がなければ「続行」をクリック。
テンプレートの確認とサイズ
注文内容の確認画面です。
Tシャツなどのサイズの選択ができるものは、ここでサイズを選択します。
テンプレートの作成作業が完了です。
注文
デザインテンプレートの作成が終わると、管理画面の「商品テンプレート」に、作成したデザインテンプレートが表示されるようになります。
制作するデザインテンプレートを選択し「注文を作成」をクリック。
新規注文のウインドウが開き、通常注文から「注文を作成」をクリック。
注文するテンプレートの内容が確認できるので、間違いが無いかを確認し、問題がなければ「続行」をクリック。
注文内容の確認
注文内容が確認できます。
デザインの内容、数量、金額などに問題がなければ「配送へ進む」をクリック。
配送先の入力
配送先の入力をします。
海外サービスにありがちな、住所は英語表記とかではなく、日本語に対応しています。
入力が完了したら「送料を計算」をクリック。
送料の確認
送料の確認です。
データの変換料金などが加算されることもあります。
逆に割引が適用されることもあります。
ここで表示されている金額が最終的な金額になります。
問題が無いようであれば「最終確認へ」をクリック。
最終画面で注文を確定すると、あとは発送されるのを待つだけです。
進捗状況などはメールでも連絡が来るので、途中でデータに不具合があった場合などで注文が止まっていたりした場合にも知ることができます。
もちろん、注文が出来上がって、発送されれば、発送情報とともに連絡が送られてきます。
注文した商品の到着
商品の注文をすると、すぐに制作が開始されて、約1週間程度で発送連絡が来ました。
今回は国内生産ではなく、海外工場での生産(ラトビア)だったので、国際郵便で発送でしたが、特に遅れたりすることもなく、発送から約2週間程度で、予定通りに到着しました。
丁寧に折りたたまれた状態で梱包されていました。
海外からの発送なのであまり状態の良い梱包は期待していなかったのですが、しっかりしていますね。
胸元の刺繍です。
大きさ的には、よくあるスカジャンのトラの顔で考えると一回り小さいくらいのサイズです。
バランスを考えるとスカジャンのトラくらいの大きさで刺繍が出来れば良かったなと思いますが、ステッチ数などの関係もあり、それほど大きくは刺繍することができません。
刺繍の場合は、メインのデザインというよりは、ワンポイント的なデザインで考えた方が良さそうです。
全体
全体像的にはこんな感じです。
今回注文したのはジャケットで、サイズはXL。身長180cmくらいのガッチリ系の人が着用して丁度くらいのサイズです。
大きめなサイズなので、どうしても刺繍が小さく見えてしまいますね(笑)。
女性用サイズやキッズサイズだと丁度良い感じの大きさになるのかもしれませんが、このあたりは実際に作ってみないと分からない部分もありますね。
ちょっと残念だったのは、写真で見ても分かるレベルで生地の質が薄くて、選択するとすぐにヨレヨレになってしまう感じですね。。。価格が価格なのでしょうがない部分はありますが、価格が高くなっても構わないので、もう少ししっかりした生地の製品も選べると良かったかなぁ。
この点は選択した製品が悪かったのかもしれません。Tシャツなどであれば、addidasやanvil、Championなどのブランド製品からも選択できるので、しっかりとした品質の製品が欲しければブランドから選択するのが良いかと思います。
ジッパー部分
生地の品質はちょっと残念でしたが、ジッパー部分はYKKが使用されています。これは良いですね。
刺繍部分
肝心の刺繍部分は、ホツレなどもなく綺麗に刺繍されています。
これは想像以上で隙間もなく、また、デザインの再現性も高いと思います。
刺繍部分を拡大してみても、なかなか良い感じです。
PRINTFULでオリジナルグッズを作成まとめ
以前から、クリエーターの方々がオリジナルグッズを制作して販売しているというような話は聞いたことがあったのですが、僕自身は過去にグッズを作って在庫を抱えた苦い経験もあることから、グッズ制作に関しては消極的でした。
しかし「昔に比べると、いろいろと便利になっている」というのもウワサに聞くところだったので「お試しな感じでオリジナルグッズを作ってみるかな」と、初めてオリジナルプリント作成サービスのPRINTFULを利用してみた次第です。
結果として、想像以上に簡単にオリジナルグッズが作成できますし、何よりも少量の注文でも価格が安いというのが魅力的です。
昔はTシャツを1種類作るのでも枚数に関わらず10万円〜みたいな世界でした。更には商品として数千円で売って利益を出せるくらいの仕入れ価格にするには1,000枚くらいは制作する必要があったので、初期投資で50万円くらいは必要でしたし、販路がなければ在庫の山というリスクも負わなければいけなかったんですよね。
それを思うと、もう信じられないような素敵なサービスで「良い時代になったなぁ」と心底思います。
自身のオリジナルグッズを作成するのにも良いでしょうし、仕事としてオリジナルグッズのデザインを受注して、その制作の発注先としても利用できそうです。価格も安く単品でも注文できるので、本番をデザインする前のサンプルのためのパターン作成で利用するのも有りだなと思いました。
また販売目的でなくても、誰かへのプレゼントやイベント用に作成するのも良いですね。
他にもまだ作りたいデザインが沢山あるので、今後もいろいろ作ってみたいなと思います。
PRINTFUL|あなただけのオリジナル商品を作成
https://www.printful.com/jp/design-your-own-products